人が亡くなると、その人の財産上の権利や義務を誰がどの様に承継(引き継ぐ)するのかということが起こります。

人が亡くなったことで、財産や地位を引き継ぐことを相続と言います。

人の死は100%なので、必ず1度の相続が起こることになりますが、この相続をするには、色々な手続きが必要ですので、この手続きについて見ていきましょう!

目次

相続手続きは何をすれば良いのか?

相続手続きを行うには、大きく下記のことを行う必要があります。
先回は相続財産の確定をみました、今回は遺産分割協議をみていきましょう!

★相続人の確定

★相続財産の確定 

★遺産分割協議  ←今回はこれ!

★財産の名義変更

今回は上記の遺産分割協議を見ていきましょう!

遺産分割協議とは?

遺産分割協議という言葉を聞くと、なんかとても難しい感じがしますが、要は相続人で遺産(相続財産)をどの様に分けるかを話し合うことを言います。
なので、高齢の父が亡くなって相続人が母と子であり、家族が仲良くしているような場合は話し合いにしても、問題はないでしょう!

しかし、相続人の中に行方不明の子供や兄弟姉妹がいる場合、子供が未成年者である場合、また母が認知症を患っている等のときは注意が必要です。

相続人の中に行方不明者がいるとき

相続人の中に行方不明の方がいるときは、家庭裁判所に行方不明の方(不在者と言います)の財産管理人を選任してもらいます。
また、行方不明の方の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所に請求することで、失踪の宣告をすることができす。
失踪宣告がされるとその方については、「死亡した」としてあつかわれます。

不在者の財産管理人が選任されたときは、その財産管理人と遺産分割協議をすることになります。
また失踪宣告がされた場合は、亡くなったものとして遺産分割協議を行います。

相続人の中に未成年者がいるとき

相続人の中に未成年者がいるときは、原則その未成年者の親権者(親)が代理を行うのですが、その親権者(親)も相続人である場合も多いのではないでしょうか。
未成年の子とその親権者(親)が相続人となった場合には、双方にとって利害関係が反すると考えられるため、このような場合には家庭裁判所に請求して未成年者の特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が遺産分割協議に参加することになります。

相続人の中に認知症の方がいるとき

相続人の中に認知症の方がいるときは、成年後見制度を利用して家庭裁判所に成年後見人を選任してもらう必要があります。(成年後見制度のブログを参照してください)
もうすでに成年後見人が選任されている場合はその成年後見人が遺産分割に参加するのですが、未成年者の親権者と同じく成年後見人が家族であり相続人の場合には、利益が相反しますので、成年後見監督人がいる場合はその監督人が、また成年後見監督人が選任されていない場合は、家庭裁判所に請求して特別代理人を選任してもらう必要があります。

遺産分割の方法

財産の分け方については、法定相続分で必ずしも分ける必要はなく、話し合いで決めることができますが、やはりその前提としては法定相続分がどうなっているかは影響するでしょう!
また実際の分け方ですが、現物分割、代償分割、換価分割、の3つがあります。
その他にも、不動産は共有分割というのもありますが、後々のことを考えるとあまりお勧めできません。

法定相続分

法定相続分について簡単に触れておきます。
パート1で誰が相続人なるかということを書きましたが、相続人が誰かということで法定相続分も異なってきます。

①配偶者と子
 この場合は、配偶者は2分の1で子が2分の1となりますが、子が複数いる場合はその2分の1を子の数で分けますので、子が2人の場合は各4分の1となります。

②配偶者と直系尊属
 この場合は、配偶者は3分の2で直系尊属が3分の1となり、直系尊属が2人いる場合は各6分の1となります。

③配偶者と兄弟姉妹
 この場合は、配偶者は4分の3で兄弟姉妹が4分の1となり、兄弟姉妹が複数の場合は4分の1をその数で分けます。

遺産分割の方法は?

現物分割
土地と建物は母親、預貯金は長男、有価証券は長女というように財産をそのまま分ける方法です。

代償分割
例えば、長男が土地建物を相続し、母親や長女にお金(代償金と言います)を支払うという方法です。

換価分割
不動産などを売却してお金に変えて、それをみんなで分ける方法です。

共有分割
不動産などを法定相続分などに応じて共有する方法です。

この共有ですが、あえて共有とする場合もあると思いますが、相続が発生しても不動産を相続手続きせずにほったらかしにしておくと、登記名義は亡くなった方になっていますが実際の所有権は相続人の法定相続分で共有状態のままであるということになり、空き家問題などにもつながっていきますのでお勧めではありません。

特別受益と寄与分

相続人の中に被相続人から生前に多くの贈与を受けた者がいる場合に、その贈与は特別受益となります。
そのことを無視して、例えば法定相続分で分けると不公平なので、その受けた財産も相続財産として考えて、その分を相続分から差し引くことができます。

また、相続人の中に被相続人の生前に、被相続人の財産の維持や増加、療養看護に寄与した者がいた場合は、それを無視して法定相続分で分けると特別受益とは逆に不公平となるので、そのことを考えて遺産分割協議で考慮するのが寄与分です。

ただこの様な事が問題となるのは、遺産分割協議で揉めていることが多いのではないかと思います。

遺産分割協議書の作成

相続人全員での話合い(遺産分割協議)がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書には、協議の内容を記載して、相続人全員が実印で押印して、印鑑証明書を添付します。
相続財産を明確に特定し(不動産は登記事項証明書どおりに、預貯金は銀行名、支店名、口座種別、口座番号を記載)誰が取得するかを記載します。

遺産分割協議がまとまらない時は?

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも不服があり合意しない人がいれば協議が成立せずに遺産分割協議書が作成できません。
そのようなときは、家庭裁判所に遺産分割の調停を申立てることができます。
家庭裁判所での調停で話合いを行いますが、それでもまとまらない場合は、審判へ自動的に移行します。
遺産分割の審判によって最終的には遺産の分割が決まります。